【税理士試験】消費税法11(仕入れに係る対価の返還等)

はじめに

こんにちは、私は今、税理士試験の勉強をしています。

皆さんもこれから勉強を始める方、既にはじめていらっしゃる方なのかと思います。

定期的に学んだことをアウトプットしていきたいと思いますので、皆さんも一緒に頑張りましょう!

よければ定期的に覗きに来てください。

仕入れに係る対価の返還等

今までは、仕入税額控除の内容を学んできましたが、控除対象仕入税額の計算には、様々な規定があり、今回は、仕入れに係る対価の返還等について学んでいきます。

仕入れに係る対価の返還等

仕入れた物品の返品等は、仕入れのマイナスになりますので、消費税法は、仕入れに係る消費税額から、その返品等に係る消費税額を控除することとしています。

仕入れに係る対価の返還等の意義

法の32条に規定があります。

「仕入れに係る対価の返還等」とは、国内に置いて行った課税仕入れに係る支払い対価の額の全部若しくは一部の返還又はその支払い対価の額に係る買掛金等の全部若しくは一部の減額をいう。

消費税法32条

仕入れに係る対価の返還等の具体的な範囲としては、以下があります。

  1. 仕入返品・・・仕入からの直接控除項目
  2. 仕入値引・・・仕入からの直接控除項目
  3. 仕入割戻・・・仕入からの直接控除項目
  4. 仕入割引・・・営業外収益の項目
  5. 販売奨励金
  6. 事業分量配当金

販売奨励金は、売上の際にもあったと思いますが、今回は、仕入れる際に使われるものです。

販売促進の目的で、仕入れ金額に応じて、取引先から金銭により支払いを受けるものです。リベート(仕入割戻)と同じ意味です。雑収入の科目となる可能性があります。

内容

内容についても、法32条に規定があります。

課税事業者が、国内において行った課税仕入れについて、「仕入れに係る対価の返還等」を受けた場合には、控除対象仕入税額の計算の各方法に応じて算出した金額をその仕入れに係る対価の返還等を受けた日の属する課税期間における「課税仕入れ等の税額の合計額」とみなして、仕入れに係る消費税額の控除の規定を適用する

消費税法32条

「仕入れに係る対価の返還等に関する消費税額」は、その「返還等を受けた日の属する課税期間」において適用するとありますので、その返還等が前期仕入れに関するものであって、返還等を受けた日の属する課税期間にて、処理が必要となります。

全額が控除される場合

(1)控除対象仕入れ税額

全額が控除される場合の控除対象仕入税額は以下のように計算します。

控除対象仕入税額=課税仕入れ等の税額の合計額−仕入れに係る対価の返還等に係る消費税額

(2)仕入れに係る対価の返還等に係る消費税額

以下のように計算します。

仕入れに係る税込対価の返還等✖️(7.8/110)

※上記は、令和3年現在の税率です。

軽減税率が適用される課税仕入れ(6.24%)に係る対価の返還等については、6.24/108を乗じます。

あくまで、仕入れた時に課税されていたものについてのみ、処理を行い、免税、非課税、不課税に係るものは処理を行いません。

個別対応方式の場合

個別対応方式の場合は、以下のプロセスで計算します。

(1)課税対応の課税仕入れ等の税額の合計額−課税対応の仕入れに係る対価の返還等に係る消費税額

(2)(共通対応の課税仕入れ等の税額の合計額✖️課税売上割合)−(共通対応の仕入れに係る対価の返還等に係る消費税額✖️課税売上割合)

(3)(1)+(2)=控除対象仕入税額

仕入れと返還等、両方に課税売上割合を乗じます。

一括比例配分方式の場合

一括比例配分方式の場合は、以下のように計算します。

(課税仕入れ等の税額の合計額✖️課税売上割合)−(仕入れに係る対価の返還等に係る消費税額✖️課税売上割合)=控除対象仕入税額

控除しきれない場合

「仕入れに係る対価の返還等に係る消費税額」をその課税期間の「課税仕入れ等の税額の合計額(本来の控除対象仕入税額)」から控除して、控除しきれない(マイナスになる)金額は、課税資産の譲渡等に係る消費税額とみなして、その課税期間の「課税標準額に対する消費税額」に加算します。

金額の記載については、「控除過大調整税額」の欄で行います。

課税貨物に係る消費税額の還付

輸入消費税の還付についても規定があります。

内容

課税事業者が、課税貨物の引き取りに係る消費税額の全部又は一部につき、他の法律の規定により「課税貨物に係る消費税額の還付」を受ける場合には、控除対象仕入税額の計算の各方法に応じて算出した金額をその還付を受ける日の属する課税期間における「課税仕入れ等の税額の合計額」とみなして、仕入れに係る消費税額の控除の規定を適用する。

消費税法32条

適用時期は、「その還付を受ける日の属する課税期間」となります。

その還付が前期以前の課税貨物の引き取りに係るものであっても、処理が必要となります。

全額が控除される場合

仕入れに係る対価の返還等と同様の処理を行います。

(1)控除対象仕入税額

課税仕入れ等の税額の合計額※−引取りの還付税額=控除対象仕入税額

※仕入れに係る対価の返還等に係る消費税額を控除した残額

(2)引取りの還付税額

税関より還付された税額(国税部分)をそのまま使用します。試験では、通常、与えられる額となります。

非居住者からの輸入貨物に係る値引き、割戻し等は、税関から還付を受ける消費税額がないため、処理を行いません。税関から還付を受けるものがあった場合のみ、処理が必要です。

個別対応方式

個別対応方式は以下のプロセスで計算します。

(1)課税対応の課税仕入れ等の税額の合計額(※1)−課税対応の引取りの還付税額

※1 課税対応の仕入れに係る対価の返還等に係る消費税額を控除した残額

(2)(共通対応の課税仕入れ等の税額の合計額(※2)✖️課税売上割合)−(共通対応の引取りの還付税額✖️課税売上割合)

※2 共通対応の仕入れに係る対価の返還等に係る消費税額に課税売上割合を乗じて計算した金額を控除した残額

(3)(1)+(2)=控除対象仕入れ税額

一括比例配分方式

以下のように計算します。

(課税仕入れ等の税額の合計額✖️課税売上割合)※ − (引取りの還付税額✖️課税売上割合)=控除対象仕入税額

※仕入れに係る対価の返還等に係る消費税額に課税売上割合を乗じて計算した金額を控除した残額

控除しきれない場合

仕入れに係る対価の返還等と同様の処理を行います。

課税仕入れ等を行なった課税期間が免税事業者であった場合

その仕入れに係る対価の返還等又は、その還付税額については、原則として処理を行いません。

相続等により事業を承継した場合

仕入れに係る対価の返還等

相続により被相続人から承継した事業に係る課税仕入れについて、相続人が仕入れに係る対価の返還等を受けた場合についても、その相続人において仕入れに係る対価の返還等の規定が適用されます。

課税貨物に係る消費税額の還付

相続により被相続人から承継した事業に係る、保税地域からの引取りに係る課税貨物に係る消費税額につき、相続人が他の法律(輪微法)の規定により還付を受ける場合についても、その相続人において課税貨物に係る消費税額の還付の規定が適用される

合併、分割の場合

上記の規定は、合併により事業を承継した合併法人又は、分割により事業を承継した分割承継法人の場合も同様です。

仕入税額控除の基礎(その2)

今回は、課税貨物を保税地域から引き取った場合(輸入仕入れ)における仕入税額控除の時期(一般申告と特例申告)を学習する

一般申告と特例申告

仕入れに係る消費税がくの控除

課税事業者が、国内において行う課税仕入れ又は保税地域から引き取る課税貨物については、次の日の属する課税期間の「課税標準額に対する消費税額」から、「課税仕入れに係る消費税額」及び「引取りに係る消費税額」の合計額を控除する

(1)国内において課税仕入れを行なった場合・・・課税仕入れを行なった日

(2)一般申告課税貨物につき、申告書を提出した場合・・・一般申告課税貨物を引き取った日

(3)特例申告書を提出した場合・・・特例申告書の提出日

終わりに

いかがだったでしょうか。皆さんの参考になれば幸いです。これからも一緒に勉強を頑張りましょう!

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個人が主役の時代のキャリアについて、業務改善/テクノロジー、個人のあり方などを発信していきます。ミッションはこの世から雑務を撲滅し、人が活き活き活躍できる社会を作る事/業務改善コンサル、ビジネスアナリスト←ITリサーチャー←古民家農園運営で独立←市役所職員←Sler/2拠点居住/オフグリッドカフェ開業予定/G検定/IoT検定/RPAのWinActor講師