先日、高田馬場のリスカフェで開催された、「いただきます みそをつくる こどもたち 劇場版」の上映会にお誘いをうけ、参加してきました。
とてもよい映画だったので、シェアしたいなと思います。
実在する保育園が舞台
この映画は、福岡市にある高取保育園という実在する保育園を主な舞台とした、ドキュメンタリー映画です。
子ども達の元気でリアルな姿が、この映画の説得力を高めています。
保育園に詳しいわけではないのですが、自分に子どもがいたら、こんな保育園だったら通わせたいなぁと思える保育園です。
西園長の哲学
作中には、保育園を開園された時から園長をされている西園長(現在は退職されたそう)がたびたび登場します。
ひとつひとつの言動が本質をとらえているようで、西園長の哲学が色濃く反映された保育園なんだろうなぁと感じました。
以下、西園長語録を紹介したいと思います。
引用は、映画のHPより
「食は命をつくる」
生まれた土地の食物を食べ続け、それを何万年も続けてきた結果が、
今の私たちの身体です。
日本人の身体は、その土地で採れた伝統的なものを食べて暮らすときに、
最も健康でいられるようにできているのです。
この考え方を「身土不二」といいます。戦前はアトピーやアレルギーの子はほとんどいませんでした。
日本は戦後学校給食が始まったのを境に、食生活が極端に西欧化しました。
さらに日本人の食生活が大きく変化したのは、高度経済成長期のことでした。
このころを境に「食」に大きな変化がありました。
炭水化物摂取の主流が、お米から小麦に。
タンパク質は魚・大豆から牛乳・肉へ。
おかずは、野菜から脂肪分の多いものへ。
調味料は、醤油・味噌から、砂糖・ソース・マヨネーズへ。
家族食から、外食へ。
急激な食の変化は、弱いこどもたちに一番に跳ね返ってきました。
アトピー、アレルギーの原因のひとつに食があります。
玄米和食の給食によって、毎年こどもたちのアレルギーが改善されています。
当園に通わせるために引っ越して来られる家庭も珍しくありません。もう一度、日本人の当たり前の暮らし、当たり前の食事に帰ろう、
保育の原点に立ち返り、命のいとなみを取り戻そう、
そんな想いで、玄米和食の給食を続けてきております。
作中では、アトピーを持って入園する子ども達がいるのですが、半年程でみんな治ってしまうとのとこです。アレルギーについては、食の欧米化や大量に化学製品を使用するようになってから増えて来た病気と言われています。これから日本人も進化するのかもしれませんが、現時点では遺伝的に日本人は伝統的な和食のほうが相性が良さそうです。
改めて食事や生活の大切さを感じますね。
「ほんものの味噌」
市販の味噌は添加物を使って20日程度で作ってしまいます。
大量生産のため加熱処理されると、発酵が止まってしまいます。
本物の味噌は生きた酵母が呼吸しています。
高取では、日本でも数少ない種麹屋である「椛島商店」の麹を使い、
毎月100キロの味噌をこどもたち自身が作ります。
自分たちで作ったものをを食べることで、食に深い関心が生まれます。
人間は経験したことしか記憶に残りません。
そうしてできたみそ汁のおいしさは格別です。
昔ながらの本当のお味噌のおいしさを、
こどもたちの身体で知ってほしいのです。
実は私も味噌作りはそこそこやったことがあるので、確かに子ども達でも作業できるというのはわかりますが、実際に自分達が作ったものを毎日食べるというのはとても良い事だなと思います。
都市に住むと食はほとんどスーパーや外食にアウトソーシングして、これがいったいどこでどうやって作られているのかもわからず生活できてしまいますが、少しでも知ったり、自ら作り出したりすることで、地に足をつけてる感や、自立心は高まります。
また、手前味噌作りをすると、味噌は仕込むのは簡単でも、熟成するまでに半年以上かかることを知ります。そうすると、何故、スーパーの味噌はそんなにも安いのか?という疑問を持つ事ができるようになりますが、大量生産のため、加熱処理を加えて発酵処理を止めてしまっているのですね。発酵食品は健康への寄与度が高いと近年注目を浴びていますが、本物の味噌を食べたいものですね。
「百回かんで食べましょう」
給食の時間は 食事のマナーを身につける時間でもあります。
食べる姿勢を整えることが
「食べ物のいのちに感謝する気持ち」につながっていきます。
玄米をよく吸収するためにも、
食事の前に「よく噛めよのうた」を歌ってから
よく噛んで給食をいただきます。
毎日の習慣にしているというのがいいですね。何をするにも3日坊主になりがちですが、習慣化することでそれを防ぐことが可能になります。
「丸ごといただく」
「一物全体」とは、食材を丸ごと食べることで
すべての栄養素をとりいれることができるという
マクロビオティックの考え方です。
その根底にあるのは「大切ないのちを丸ごといただく」
という感謝の心です。
私も自分で野菜をそだてていますが、生産過程が全て分かっているので、安心して食べる事ができます。不必要に皮を剥いたりせず省力化にもなりますし、丸ごと栄養素を取り入れることができます。
「いくら身体に良くても、おいしくないと続かない」
こどもの舌は繊細です、小さい子ほどおいしいものがわかるのです。
マヨネーズ、ケチャップ、ソースは使いません。
肉のうまみや、化学調味料に頼らない、素材本来のおいしさを、
こどもたちの味覚形成時に伝えたいのです。
たしかにいくら体によくても、苦行であれば続けられないですよね。
味覚は慣れの部分が大きい気がします。素材本来の味をベースにしておくというのは重要だと思います。
自分で作った野菜を調理するときは、味噌や醤油などシンプルな味つけをすることが多いですが、ちゃんと美味しくいただけます。
「空腹こそ、最高の調味料です」
高取では、こどもたちは裸足で園庭を駆け回ります。
こどもは風の子、子どもは野山を裸足で駆け回るのが本来の自然な姿。
駆け回らせないのは、自然に反したことなのです。
運動したこどもたちは、食欲旺盛です。給食の食べ残しは、ほとんどゼロ。
空腹こそ、最高の調味料なのです。
保育園には詳しくないのですが、給食の食べ残しがゼロというのはすごいことらしいです。たしかに動き回ったらお腹すきますし、なんでも美味しく感じますよね。
自分の子どもの他人の子どもも関係ない
作中で、西園長が「何故、自分の子どものように、園児達と接する事ができるのですか?」というインタビューを受けていたのですが、その回答で、自分の子どもとか、他人の子どもとかそういった概念はなく、全ての子どもは未来を作る希望的な回答をされていました。
これってアドラー心理学でいう共同体感覚の概念とも似ているなぁと思いました。その境地に達することはなかなか難しいと思いますが、達すれば、世の中に広く受け入れられるプロダクトが出せるのではないかと思います。
屑肉と添加物まみれのミートボールの製造に携わっていた安部司さんの自身の食卓にミートボールが出て来て子ども達に食べさせるのをやめさせたという話がありますが、自分の子どもと他人の子どもという区別をしなければ、そもそも粗悪品というのは生産されないはずです。
編集後記
最近ハードな日が続いており、この日もゆっくり寝ていたかった気持ちもありますが、頑張って観にいってよかったなと思いました。
ここ数年は自分で育てた野菜を中心としたシンプルな食生活を中心としてとても健康な日々を過ごしていましたが、最近ハードな日々により、ちょっと食生活が乱れてきており、手があれたり、体調を崩したり、いろいろな弊害が出ており、あらためて食の大切さを実感しております。
高取保育園には全国から視察が殺到しているそうです。参考にするのはいいと思いますし、いいところはどんどん取り入れて欲しいと思いますが、1番はしっかりとした哲学を持つことが必要です。哲学があっての仕事とこなすだけの仕事では圧倒的な差がでてきます。自分も哲学を持ち、また、世の中のサービスも哲学のあるものを選びたいと思いました。
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