事業を行う中で、取引先や第三者との間にトラブルが発生し、損害賠償金を支払うことは珍しくありません。では、その損害賠償金は税務上「経費(必要経費または損金)」として処理できるのでしょうか?
この記事では、国税庁の通達などを参考に、損害賠償金が経費として認められるかどうかの判断基準についてわかりやすく解説します。
1. 基本的な考え方:損害賠償は業務関連かどうかがカギ
損害賠償金が経費として認められるかどうかは、その損害が「事業に関連しているかどうか」によって大きく変わります。
国税庁の見解では、
「法人が支出した損害賠償金であっても、役員または使用人の故意または重大な過失によって生じた損害に基づくもの等については、原則として損金の額に算入することはできない」
とされています。
つまり、通常の業務の遂行中に、予期せぬトラブルで発生した損害賠償であれば、経費として認められる余地があるということです。
2. 経費として認められるケース
以下のような損害賠償金は、業務に直接関連しており、かつ故意や重大な過失がなければ、経費として計上できる可能性があります。
✔ 経費として認められる主な例
- 業務中に従業員が交通事故を起こし、会社が賠償責任を負った
- 商品やサービスに欠陥があり、顧客に損害を与えたことによる賠償
- 通常の取引に関する契約違反による和解金
これらは「通常の業務活動に伴って発生し得る支出」であり、事業に必要な費用と見なされやすいです。
3. 経費として認められないケース
一方、以下のようなケースでは、たとえ損害賠償金であっても経費にはなりません。
✘ 経費にならない主な例
- 経営者や従業員の私的行動に起因する損害(例:プライベートでのトラブル)
- 故意または重大な過失による事故や損害
- 社会的に不適切な行為(例:ハラスメント、名誉毀損など)による慰謝料
- 罰金や過料など、ペナルティ的な支出
このような支出は、事業との関連性がなく、また「社会通念上、必要な経費」とも言えないため、税務上は認められません。
4. 和解金・慰謝料の扱いは内容次第
和解金や慰謝料については、その発生理由によって取り扱いが分かれます。
- 契約トラブルや債務不履行に伴う和解金:経費になる可能性あり
- 違法行為や私的トラブルに基づく慰謝料:原則として経費にならない
どちらも支払う事情を明確にしておく必要があり、税務調査で説明を求められることもあります。
5. 損害賠償が経費になるか判断する3つの視点
損害賠償が経費として認められるかどうかは、次の3点で判断されます。
- 事業との関連性があるか
業務の一環で生じた損害かどうか - 支出に正当性があるか
社会通念上、合理的と認められる支出かどうか - 故意・重大な過失がないか
通常の業務中の過失か、明らかに責任が重いか
まとめ
損害賠償金が経費になるかどうかは、「業務との関連性」と「発生原因」がカギになります。
業務の延長線上で発生したものであれば経費になる可能性がありますが、私的な行動や重大な過失による損害に基づく賠償は原則として認められません。
判断が難しい場合は、支払理由や契約書、示談書などを整理して、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
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